円錐切除をした後も病理結果次第でその後も治療することになるかもしれない…というのが異形成の嫌なところですよね。
私も円錐切除後の病理結果が心配でたまらず、断端陽性になる確率はどのくらいなのか、がん細胞が見つかる可能性はどのくらいなのかということが気になって仕方ありませんでした。毎日ネットでいろいろ検索していたところこんな資料を見つけました。
新潟がんセンター病院医誌-子宮頸部円錐切除術症例の検討
http://www.niigata-cc.jp/contents/facilities/ishi/Ishi50_2/Ishi50_2_07.pdf
こちらに病理結果の断端陽性の確率や円錐切除をする前の診断と病理結果にどれくらい相違があるかなどが書いてあるので、簡単にまとめたいと思います。
対象
まず調査の対象になっているのは
- 中度異形成~浸潤癌の円錐切除600例を対象
- 腺癌、再発は対象外
とのことです。
切除断端陽性の確率
まず円錐切除後の病理結果で断端陽性になった人がどのくらいいたのかということが書かれています。
600例中断端陽性であった症例は98例あり,断端陽性率は16%であった
つまり中度異形成~浸潤がんで円錐切除をした人のうち16%で断端陽性が出たということです。
さらにその後に「陽性であった中で膣側は10%、頸管側は88%、両側は2%」とのこと。子宮の方に取り残しが出てしまう人が多いようですね。
手術前の診断より高度病変が発見される可能性
CIS(上皮内癌)の場合 14.0%
浸潤癌の場合 5.7%
円錐切除後の病理結果
- 術前診断が高度異形成の場合
悪性所見なし | 12例(5%) |
---|---|
軽度異形成 | 2例(1%) |
中度異形成 | 13例(6%) |
高度異形成 | 136例(58%) |
CIS(上皮内癌) | 66例(28%) |
微少浸潤癌 | 7例(3%) |
- 術前診断がCIS(上皮内癌)の場合
悪性所見なし | 8例(3%) |
---|---|
軽度異形成 | 1例(0.3%) |
中度異形成 | 7例(2%) |
高度異形成 | 20例(6%) |
CIS(上皮内癌) | 229例(74%) |
微少浸潤癌 | 41例(13%) |
浸潤癌 | 2例(1%) |
- 術前診断が微少浸潤癌の場合
中度異形成 | 1例(2%) |
---|---|
高度異形成 | 1例(2%) |
CIS(上皮内癌) | 14例(26%) |
微少浸潤癌 | 34例(64%) |
浸潤癌 | 3例(6%) |
これを見ると術前診断の結果と病理結果が違う確率が結構高いように見えます。特に術前診断:高度異形成→病理結果:高度異形成というのが54%というのは低いですよね。
断端陽性だった場合のその後
この資料には他にも陽性だった場合のその後の経過についても触れています。
切除断端が陽性であった98例の転帰を検討した。切除断端が陽性のため,追加手術を行った症例が13例あり,術式は子宮頸部円錐切除術6例,LEEP1例,単純子宮全摘出術2例,準広汎子宮全摘出術1例,広汎子宮全摘出術1例,広汎子宮頸部摘出術1例であった。
13例中,病巣遺残のあった症例が8例,病巣遺残がなかった症例が5例である。
取り残しがあると病理結果が出ていたけど取ってみたらなかったという人が5例もあるということですよね。
また、
85例では追加手術を行わず経過観察している。経過観察の中で子宮頸部上皮内腫瘍が発生したが自然消失した症例が1例,CINが発生し存続する症例が2例,CINが発生し手術を行った症例が2例であった。細胞診などに異常がなく,順調に経過している症例は80例であった。
と書いてありますね。円錐切除後に断端陽性で子宮摘出と言われてもセカンドオピニオンで他の病院へ行き、「経過観察で良いと言われた」という方もよく見かけます。
これを見るとたとえ病理結果で断端陽性が出ても、追加手術をするべきか迷っていたと思います。特に私は挙児希望だったので、子宮摘出になったら絶対嫌だと思ってました。
こちらの資料には他にもCIS(上皮内癌)例における子宮温存手術の比率なども記載されているので、とても参考になります。
※追記※
私の場合、手術前は
細胞診→クラス3b(高度異形成)、クラス4の可能性も
組織診→CIN3(高度異形成)
円錐切除後の病理結果→高度異形成
でした。
※私は医療関係者ではありません。個人的に調べた知識や経験に基づき情報を掲載しています。あくまでも治療や病気についてのことは主治医にご相談ください。